女とお醤油

ケーキよりあんこがよくなってしまうのは、

きっと、年齢のせいだと思うけど、

育った時代のことを思い出してみると、生クリームの出現はかなり遅く、

中学生の頃だっと記憶している。


高校3年の頃になると、デコレーションケーキを作り、

20歳を過ぎる頃には、ル・コントのチーズケーキに夢中になっていた。



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チーズケーキは今でも好きだけれど、

あまり美味しいものがなく、どれもほどほど...と、いうのが淋しい。

(生乳の高騰が原因なのかしらん...)

振り返ってみれば、お菓子にはお菓子の流行があり、

甘々なマカロンの人気は衰えるどころか広がっている。


あれは、小さいのがいいのね。

美しい配色、クリームの美味しさ、

わっ甘い!と、感じても、

すぐに食べ切れてしまうサイズが魅力的。

どのメゾンもパッケージに凝っていて、箱を開ければ、おフランスの香りが...。

マカロンに関しては、フランスのメゾンが何馬身もリードしていて、

フランス人の感覚、センス、食文化に、拍手を送りたくなります。




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繊細な日本人は、

繊細な味覚から、比類なきお菓子が作れる民族ですが、←キッパリ!

全国各地の美味しいお菓子をいただくと、ほとほと感心してしまいます。

単に美味しいだけでなく、

そこには地産地消の精神があり、市井の暮らしも感じられるのです。


デパ地下の、「全国のお菓子コーナー」が人気なのも当然。




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お差し入れの食パンは、オープン当初から大人気ですが、

焼かずにいただいても、本当に美味しい。

焼いても美味しいらしいけれど、焼くという手間の前に、

ちぎっては食べ、ちぎっては食べを繰り返してしまうという代物。

「株主ご優待よ」

と、仲良くお相伴させていただきました。



思えば、

この食パンを初めていただいたのは、ジムの更衣室でした。

「朝美さん、これね、さっき並んで買ってきたの。半分如何ですか...?」

「わぁー!美味しそうな小麦の匂いねぇ」

「そうでしょ、もう、お腹が空いてきちゃうわぁ」

「じゃ、やってしまう...?」

「そうですねっ!」


タイミングよく、人気の少ない化粧前に座ってお味見した二人でしたが、

こうして書いていても、あの時の感動が、今も蘇ってきます。


パンの香しい香り...。

「香りの記憶」っていうのも、あるのですねぇ。

そういえば、

マンションが建ち並ぶ前の時代の夕暮れ時、

ご近所には、手料理の匂いが溢れていました。


今晩、ここのお家はお魚の煮付けね、

こちらは、カレーね、(子供の頃、カレーライスでなくライスカレーと呼んでいた...)

あっ美味しそうなお味噌汁の匂い...。

いか、焼いてるの...?


裏道を歩けば、

洗い物の水音、包丁の音が聞こえることもありました。


香り、匂い、音、

人に備わった五感は、人間は動物なのよ、奢ってはいけませんよ、

と、教えてくれているように思います...。



日々の暮らしの中で、

「影響の記憶」というものは、たくさん隠れています。


ひとたび思い出してみると、

様々な記憶が思い出され、

記憶をたぐり寄せてゆくと、

意外なところ、意外なことに、「影響」を受けていると気づかされます。


秘書時代のアラキ課長の体臭の凄さ、アレも、しっかり覚えています。

いやーん、アレは、凄くイヤだった...。

でも、ナポレオンのように、アレが好きな人もいるのですね。



好きな人の匂い、

ベットルームに籠もる匂い、音、

表に出ない香り、匂いというのも確実にあって、

大人を長くやらないと知り得ない記憶、

こういうのも、あるにはありますなぁ...。




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焼き鳥の匂い、鰻の蒲焼きの匂い、

このふたつには誰もが反応しやすいでしょ、

お肉を焼いても、お醤油が加わると、途端に香りが立ち、少量で美味しくなります。

優れた民族が生み出したお醤油、

お醤油の底力には、つくづく感心するばかり。


たとえば、

合わせ味噌のように、合わせ醤油のような使い方をすると、

お味に深みが増し、とても美味しくなるのです。


本当に美味しいお煎餅は、近年、少なくなりましたけど、

お煎餅の魅力は、上質なお米とお醤油の魅力ですものね。

みたらし団子の場合も、

ホッとできるおやつとして、普遍的人気がありますけど、

これとて、香ばしいお醤油の匂いに助けられています。


日本人の舌は、鼻は、

お醤油に慣れさせられているのですね。

だから、

お食事の最後に、

ちょっとだけでもお醤油が感じられると、「味が決まった!」と、なっちゃうのです。


薄塩の浅漬けに、ほんの少しのお醤油、

白いご飯の最後に、ほんの少しの佃煮、

これだけで、満足度がビョーンと高くなるのです。


これによって、

食後の果物が美味しくなり、日本茶も珈琲も美味しくなるのです。




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そんな訳で、

ほんのりと暖かい焼きたてパンをいただいた後、

お醤油味の雲呑もいただいたのでございます。


「ねっ、こうして、最後の仕上げに★かけ醤油★を数滴加えるのよ」

「わぁ、全然、変わりますねぇー!」

「そうでしょ、ほんの少しでいいのよ」

「どちらのお醤油がよいですか...?」


と、お醤油談義に花が咲く午後でしたが、

食を預かる女とお醤油は、切っても切れない良縁だと思うの。


いやー、それにしても、雲呑が好き。

毎日でもダイジョウブなほど、LOVEなのです。


でも、

美味しい雲呑の皮の「高松商店さん」がやめられてしまったのが残念。

目下、雲呑の皮を求め、さまよい続けておりますんです。



(終)






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