脂がのる...ということ


愛弟子エミリーのご招待で、「染五郎」を見に行く。

話題の【伊達の十役】を、浜町の明治座で。


10役を全部で48回も変わるのですが、これは、実に良く出来たお芝居。

三代猿之助(現・猿翁)の才能に、敬意を表さずにはいられぬ舞台でした。



DSCN3991.JPG

DSCN3998.JPG

DSCN4000.JPG



40歳を過ぎ、男として、役者として、脂ののった染五郎。

本当に上手い! 

国立の大怪我のことなんて、微塵も感じさせぬ体力、気力が凄い!

舞台下で、袖で、西から東へ、南から北へ、走りに走っているのに、冷静。

息がまったく切れていない。

海老蔵の十役はやっとだったけれど、そこへいくと、染五郎は達者だ。

悪いけれど、役者が違う。


姿は美しく、華がある。 上品で色気がある。

宙乗りも、幻想的であった...。


『染ちゃん、いつの間に、 こんなに上手くなっちゃったの...?』

『菊之助ちゃんが一番、染ちゃんが二番だったけど、今日からは染ちゃんが一番!』


十役のどれもを消化しきっているのが感じられ、

特に、【政岡】の芝居には目を見張ってしまった。


お隣のエミリーも、

『染五郎が、政岡をあんなに出来るなんて...!!』 と、大興奮!


目前で我が子を殺された乳母・政岡の、浄瑠璃に乗った台詞は実にお見事! 

こうして入力していても、グググッと思い出します...。

恐らく、浄瑠璃を習いに行っていることと思うの...。

そうでないと、あの台詞回しはできないわよねぇ。


それに、

悪役の悪徳坊主【土手の道哲】の、ワルならではの愛嬌を見た時などは、

思わず、勘三郎を思い出してしまった...。(ちょっと、真似がしたくなる...)


今の染五郎、脂が乗りきっています。

陰陽五行的ニックネームをつけるとすると、
「精神世界を持つホルモン系」 と、いう感じかなぁ。


染ちゃんの心あるホルモンをバッチリ浴びた後は、

オヤジ系オバサンとて、お肌もしっとりいたします。


余韻冷めやらぬ中、もう一度、見たい...! と、思うのでございました。



DSCN3996.JPG



話は変わり、

片岡秀太郎の女形の芸が、好き。

この人は、何を演っても、本当に上手い!

今日も、舞台を引き締めていた。


いい年なのに、松本錦吾が下手過ぎてかなわない。

代わりに出たくなってしまったけど、老人会ではないので、そうはいきません。


そういえば、

二回目の幕間に、エミリーが言う。


『せんせ、明治座って、何だか盛り上がらないですねぇ...』

『ま、エミリー! 賢いわねぇ...』

『だって、拍手するタイミングがわからないみたいで変ですよねぇ...』

『明治座って、そうなの。歌舞伎の時は、どれが掛かってもそうなのよ』

『歌舞伎座や演舞場と 雰囲気が違いますよねぇ...』


オバサンはその訳を説明する...。


言わぬが花の訳だけど、染五郎は良かった良かった!!


あ、良かったぁー!!

(誰もみていないけれど、見得を切る)



すっかり脂の抜けたオバサンことワタクシ、

今宵も、言いたい放題にて、失礼の段、平にお詫び申し上げまするぅー。


チョン!



(幕)




最新コラム

このページのTOPへ