内助


高級な佃煮をお頂戴すると、京の呉服問屋の奥方を思い出す...。

御店のため、ご主人のため、跡継ぎ息子のため、と、手作りされる奥方.。

松茸の時季は松茸、秋以外は肉厚の椎茸で拵えるお手製の昆布の佃煮が

絶品でした。

 

 

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名のある料亭のものより美味しい奥方の佃煮は、秘伝。

母の話によれば、

奥方が美味しい...と喜んで下さる牛肉の佃煮を幾度となくお贈りし、

買い付けの度に、作り方をお聞きしたらしいのですが、

『へぇ、また、作りますよって...』 と、ずっと秘密のままだったという。

 

当時、いただく度に、奥方の真似をして昆布を刻み、試作する母であったが、

感覚で、「あの味」にたどり着いた或る日、

母は言った。

 

『ふふ、美味しい筈よ。真昆布を使っているのよ。山椒は鞍馬の渡辺さんのよ』

つまり、

もの凄い原価がかかっている秘伝だったのです。

そして、

次に作った時、油断して焦がしてしまいました。

 

母は、その後、昆布の佃煮を作ることはなく、牛肉の佃煮を作り続けていました。

2、3 キロまとめて作ると、本当に美味しくできる牛肉の佃煮。

片手鍋の小さいものでしたら、500グラムでも美味しく作れます。

 

切り落としの良いのがあると、私も生姜を刻み、たくさん拵えますが、

お世話になった方に喜んで戴けると、とても嬉しくなっちゃうのです。

 

昔の商家の女は、自分の手や身体を使って、人に尽くしていたのだなぁ...と、

今宵、奥方と母のことを思い出しています...。

 

それにしても、昆布や松茸の佃煮って、

東京より関西の方が美味しいですよね。

豪華な佃煮に感謝し、急ぎ、【おいしいもの帖】に、お店のメモをするのでした。

 

 

では、美味しいご飯を炊いて、幸せな晩ご飯に...。 

 

 

 

(終)

 

 

 

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