80代、女のお手本ー実況中継...

夕方、
『さ、プールの前に、軽いご飯でも...』と、思っていると、
グッドタイミングなお電話が嬉しい。
 
 
「こんな時間にごめんなさい。
お玄関先ですぐに失礼させていただきます...」
 
 
「奥様、そんなことおっしゃらないで、
私、今日はもう終わりなんですの。
 
それに、とっても美味しいお菓子があるんですもの、
熱いお茶をご一緒に如何ですか? ねっ」

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奥様がご持参下さった包みを押しいただき、
 
「わぁ〜、いつもありがとうございます。
ちょっとお行儀悪く、開けてもよろしいですか...」
 
すると、
お移しの心配をさせぬように...と、
紙箱に美味しいお稲荷さんが並んでいます。

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「今日は廣野さんのご本の真似をしたんですの。
でもね、糸三つ葉を切らしていたのでね、
おほ、庭先から芽を出していた根三つ葉をちょんと...、
 
おほほ、三本しか出てなくて、あとはオクラでごまかして...
お恥ずかしいですわ」
 
 
「まぁ、美味しそう...。
お恥ずかしい...だなんて、困っちゃうわ。
私、夜になったらプールに参りますので、
うふ、今、お頂戴してもよろしいかしら...?
 
あ、奥様はね、私のお菓子も召し上がって下さいませね」
 
 
お稲荷さんを次々に3個もパクついている間、
奥様は色々なお話をして下さった...。
 
お友達のお宅にも、このお稲荷さんをお届けしたとの事...。
それに、
和菓子のみはし堂さんのあんこは、もうダメらしい...。
 
私もそう思っていたから、やはり、そうなのね。
大好きなみはし堂さん、もっと、頑張ってほしいなぁ...。
 
 
※お稲荷さんの中には、
お味の良い焼き鮭と、白ごま、たくあんが入っていた。
 
鮭をこれだけ細かくほぐし、たくあんを白ごまと同じ大きさに刻む
真心...とは、一体、奥様のこの思いはどこからくるのだろう...。
お味も絶品!
 
 
母の拵えるお稲荷さん「人参編」を、思わず思い出してしまった。
あの人参も、包丁で繊細に刻まれ、小さな点であった。
 
 
夜のプールでは、
母のお稲荷さん「蓮根編」、
「太巻き寿司」「細巻き寿司」「ちらし寿司」
と、色々思い出して泣けた...。
 
 
誰もいないプールは、母の羊水だった。
 
 
(終)
 
 
 

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